それを追うように優花も立ち上がり紅の背中を引っ張る。


「あたしも先生にフラれちゃったんだ…。二人で慰め合おうよ」


「ふざけんな」


「え~慰めてよ~」



空港ロビーに優花の明るい声が響く。


「せっかく紅にプレゼントあるのになぁ」


「あ?」


紅が振り向くと、優花は小さな花束のブローチを持っていた。


「可愛いでしょ?三咲ちゃんの手作りだよ~」


「それ…俺の傷に塩塗ってんの?」


笑う優花に、紅も気が抜けたように小さく笑った。


その瞬間、やっと肩の荷がおりた気がした…


ずっと苦しかった恋に…ようやく終止符が打てる。





「次はもっと手がかからない奴を好きになりたいな…」


「え?何か言った??」


「なんもね―よ」




紅はもう一度笑った。

二人の幸せを願いながら――…