欲望チェリ-止まらない心

卒業生の退場は続く。


最後の方のクラスになり、ようやく紅が体育館から出てきた。


……ドキ


その姿に、身体中に電気が流れるように緊張が走った。


体育館から出てきた紅はやっぱり目立っていた。


すらりと高い身長に、一人だけ色の違う髪。


紅は流れにのり、ゆっくりと花道を進む。




あと10m…


あと5m………




徐々に近付くあたしと紅の距離に


だめ…

心臓が……止まりそうだ。










あたしの近くまできた時、紅はふとあたしの方を見た。


「っ………」


思わず…校歌を歌う、あたしの唇が止まってしまう。


紅と目が合って、周りの音が聴こえなくなった。


そんな、完全に固まってしまったあたしに



“なんて顔してんだよ?”


紅はまるでそんなことを言うように、一度だけ小さく笑った。


トク…ン



紅――…






紅はそのまま視線を反らすと、あたしの前を通り過ぎて行った。