欲望チェリ-止まらない心

「ちょうど梅の咲く頃にアイツが産まれて」


「うん」


「それで紅梅から名前を取ったらしいんだ」


「へぇ~そうなんだ?」


初めて知った紅の名前の由来。


ひー君は昔を思い出しながら楽しそうに話す。


「で、おかしいのがさ?
アイツ“紅”って名前だろ?」


「うん」


「だけど本当は“梅”って名付けられる予定だったらしいんだ」


「え~?ウ…ウメ?」


「うん。けど母親が猛反対して紅になったらしい」


ひー君は、クククッと思い出し笑いした。


「それ言ってた時のアイツが、すごく可笑しかったんだ」


「そうなの?」


「うん」


ひー君は笑い終えると、梅の木を優しい目で見つめた。


「ほんと…そんなこともあったなぁ」


「ひー君…」


「この三年間、すごく楽しかった」


「…………」


「寂しいなぁ」



ひー君の横顔に、あたしの胸にも寂しさが込み上げる。