その日は朝から快晴だった。





―――卒業式。





結局あたしは今日まで何も行動できないまま。


ひー君もあれ以来、もうなにも言わなかった。







鏡の前。

いつもより入念に身支度をして家を出た。


家の前ではいつものように、ひー君が待っていてくれる。


制服姿のひー君を見るのは今日が最後。


「ひー君、おはよう!」


センチメンタルな気持ちを隠して、あたしはとびきりの笑顔を見せた。


ひー君の卒業式を、一瞬でも曇らせたくはない。


「うん。おはよう、三咲」


ひー君も爽やかな笑顔を見せてくれる。


そんな優しいひー君を見て…、もういっそこのまま時間が止まれば良いのに。


そんな風に感じるあたしは弱虫で卑怯なのかな。