すっかり薄暗くなった帰り道。


家までの道をトボトボと歩きながら。






これで良かった。


あたしは何度も自分に言い聞かせ、心に誓っていた。





あたしもう、ひー君を傷付けない。


紅への気持ちとは、今日ここでお別れする。


紅のことは、もう考えない。


これで…良かったんだよね?


出来ればこれ以上、誰も傷付けたくない。


あたしも含めて……


これ以上苦しいのはもう嫌だよ。


みんなが一番、楽になれる選択肢。


それにはこれが…一番なんだよね?










「さよなら…紅…」




夕闇の空に、自分に呪文をかけるように、あたしは何度も呟いた。



見上げる頬に伝う涙は、あたしの想いの丈。


これで泣くのも、最後にするから…






「さよなら…紅……」




大好きだったよ――…