「はぁ…まったく」


ひー君は小さくため息をついて髪をくしゃりとやる。


そしてようやく、いつものように微笑んでくれた。


「ほんと俺、三咲には敵わないな」


「ひー君…」


ひー君は諦めたようにあたしの頭に手を伸ばすと


そのまま優しく髪を撫でた。


「もう帰りなよ。三咲に風邪移すと大変だから」


「…うん」


ひー君はベッドから降りると、部屋の出口まであたしを送ってくれた。



「ここまででごめんね。気をつけて帰るんだよ」


「ううん、ひー君もお大事にね」


そしてあたしは、ひー君の家を後にした。