ド―…ン
遠くで、花火が打ち上がる音が聞こえ出す。
帰り道。
建物が邪魔で花火は見えない。
「やっぱり早く抜けて正解だったね」
賑やかな花火会場の雰囲気が、まるで嘘のように帰り道には人がいない。
蒸し暑い、夏の夜を
ポツポツと街灯だけが灯し出して、それがなんとも寂しげに見えた。
「もっと遅かったら帰りもまた人混みにあうところだったね」
ド―…ン
「花火は見れなかったけど、今日は楽しかったな」
ド――…ン
遠くの花火に
ひー君とあたしの下駄の足音だけが響く。
「来年もまた来たいね」
「…………」
どうしよう…
ひー君にあたしは何も言えなかった。
どうしたら良いのかな…
ひー君のこと、嫌いになった訳じゃない。
むしろ好きなんだ。
だけど……
いつの間にか、それ以上に紅のことが好きになってた。
その気持ちが止められない。
そんなの許されないよね…
あたしはギュッと唇を噛んだ。
ひー君のこと…大好きだよ。
だけど
もう、ひー君とは――…



