「萌菜ちゃん……きっと本気でひー君のこと……」


帰り道、あたしはポツリと言った。



ひー君をいつも目で追ってる萌菜ちゃん。


そんな萌菜ちゃんを見ると…


なぜか胸がギュッと締め付けられるんだ。


今日の終業式で


あたしも無意識に紅の姿を探していたから。


紅はあれからどうしてるんだろう。


広い体育館では結局、見つける事は出来なかったけど…


だけど


グラウンドで、廊下で、帰り道で……


髪を赤茶に染めた生徒を見つける度に、あたしの胸はいつも反応するんだ。


目がそれを追ってしまうんだよ…





「それは誰の話?」


「あ、萌菜ちゃんだよ?」


「あぁ、あの子か」


隣を歩くひー君は小さく頷く。


午前中で学校が終わり、近くの公園では蝉がうるさいほど鳴いている。