「いや、普通にぬるいし」


「いえ!あたしぬるいの大好きです!」


「それは無いだろ」


俺は思わず笑う。


「まぁ…じゃあどうぞ」


俺が缶を差し出すと、橘は笑顔でそれを受け取った。


「わぁ~いっ!いただきます」


しかし橘は缶に口をつける寸前にふと止まった。


そのままその場に立ち尽くす橘。


「なに?」


俺も足を止めて橘を見る。


「あ…いえ…あの…」


橘はなっちゃんを握りしめたまま口をパクパクさせる。


「なんだよ?」


「いえ、あのッ…これ間接キスしちゃうけど良いですか?!」


「………は?」


「いえっ!だからあの…かかっ…間接キスをッ…!!」


「……………」




俺は橘の頭をぺシッと叩くと、その手からなっちゃんを取り上げた。



「え?」


橘は真っ赤な顔でポカーンとする。


「…お前うるさい」


「へ?」


俺はそのままスタスタ歩きだした。


てかコイツの思考回路は中学生かよ。


どうでも良いことを、俺までいちいち意識させられてやってられない。