欲望チェリ-止まらない心

「ほら、一応あたしも委員じゃん?隣のクラスの実行委員に渡されちゃって」


「……………」


あたしは萌菜ちゃんを見た。


「でも…あたし……」


これから生徒会が――…


「え?なに?聞こえない」


「っ…………」











その時


あたしが持つ資料が、ヒョイと取り上げられた。



――――え?


斜め上を見ると、そこには矢嶌紅が立っていた。


「!」


矢嶌紅はあたしから取り上げた資料を一瞥(いちべつ)すると


萌菜ちゃんを見た。


「あんたも実行委員会なんだろ?」


「え?あっはい」


萌菜ちゃんはどぎまぎしながら声のトーンが上がっていた。


「なら、あんたがすれば?」


矢嶌紅は、萌菜ちゃんにポンと資料を渡した。


「こいつも忙しいんだ。わかってやれば?」


「!」


矢嶌紅の言葉に萌菜ちゃんの耳が赤くなった。


「そっ…そうだよね!ごめんね三咲も忙しいのに」


そして萌菜ちゃんは言い訳するように付け足した。


「あたしも今日はちょっと都合が悪かったんです……でも、やっておくね?」



萌菜ちゃんはニコッと笑うと、パタパタと去って行った。