欲望チェリ-止まらない心

7月になっても梅雨はあけず、相変わらず学校はジメジメしている。


「橘、文化祭の準備は進んでるのか?」


放課後

廊下を歩いていると先生に呼び止められた。


窓の外ではシトシト雨が降っている。


「え、あ…はい、」


うまく答えられなかったのは、それが嘘だから。





あの日以来


会議はないが、あたしは連日のように矢嶌紅の仕事を手伝っていた。


生徒会の仕事は実際、華やかな表舞台よりも裏仕事の方が多い。


そしてその裏のほとんど全てを矢嶌紅がこなしていた。


今までは表部分しか知らなかったから、ひー君の活躍しか知らなかったけど…


副会長が実は一番大変な仕事なんじゃないかと、最近は思うんだ。


だからこそひー君も


あたしを矢嶌紅のサポートに回らせたのかもしれない。




「実行委員の担当の先生にな、うちのクラスだけ内容が遅れてるって言われたんだ」


先生は腕組みをして言った。


「…………」


最近あった実行委員会で、途中経過を発表しあった。


多分その時の事を、言われたんだろう…