欲望チェリ-止まらない心

だけど


この別校舎には他にお弁当を食べれるような場所もない。


本来ならまだ皆お弁当を食べてる時間帯。


本の返却だけならまだしも…


お弁当箱にノートの束まで持参してここにいる、


あたしの行動の方が明らかに不自然だった。




しかし


矢嶌紅は少し詮索するような目であたしを一瞥(いちべつ)したが


それ以上何も言ってはこなかった。


そしてそのまま図書室から去る矢嶌紅。







ガラガラ……パタン



静かに扉がしまると、思わず背筋がふにゃりと曲がった。


「……ふぅ」


矢嶌紅が何も聞かなくてホッとした。



しかしその直後


あたしは自分の頬が濡れていたことに気付き、慌てて涙を拭ったのだった。