だからおまえには後悔してほしくないんだ


「親父!」

「…なんだ?」


「親父ごめん、俺やっぱり婚約できない!」

「・・・」

「俺、好きなやつがいるんだ!…だから俺は」

「これはおきてだ」

「だったら、俺がそのおきてを変えてやる!!」


あぁ…そうだ…

あの日の俺はこの言葉が言えなかったんだ




「章ちゃん!!!」

いきなり女の子が部屋に入って来た。


「真希!?」

「なんだ、おまえは?」

「章ちゃんを奪いに来ました!!」

「「はぁ!?」」


「私、章ちゃんが好きなんです!だから、婚約なんてしてほしくない!!」


彼女は俺をまっすぐと見た。

その目は、何のためらいもない強いものだった