あれからエレベーターから降りるまで延々文句垂れてる私の鼻をグイッと摘んで一言、
「うるさい」
至近距離で言われてしまい、柄にも無く照れた私は逃げるように単車に乗るハメになった。
黒田の大事にしてるらしい単車は、青が基調とされてて凄く綺麗だった。
もちろん私は単車に初めて乗ったもんだから、ぎこちないったらありゃしない。
足の置き場も手の置き場もわかんないし、何より黒田との密着度半端ない。
何か私の足で黒田を挟んでるみたいな体制に、心臓は活発に跳ねてる。
「メット被って」
「ぅ、えっ?!」
過去無い程どもった私に、我関せずの黒田がヘルメットを渡す。
「被らないと危ない」
「あ、あぁ…って危ないの?!ねぇ?!危ないの?!」
取り乱す私からヘルメットを奪い返した黒田は、叩き付けるように私の頭にヘルメットを被せた。
「いっ痛いしっ!!馬鹿っ!!黒田の馬鹿っ」
「腰に腕回して、動くから」
「ひっ、ぎゃぁぁぁ~」

