再びチン、と音がしたと同時に開いていく扉から手を繋いだまま出ると
「…待ってる?入る?」
少し振り向き、そう言った。
家に、と聞いてるのはわかる。
でも何しに家に寄ってんのかわかんない私からしたら
「何しに来たの?」
これを聞かなきゃ、待つも入るもわからんだろ!!
「単車の鍵取りに来ただけ」
302と書かれた玄関扉の前で止まった黒田。
「じゃ玄関の前で待ってる」
「わかった」
ポケットから屋上の偽鍵を出して、すんなりと開いたドア。
ずっと繋がれてた手が、パッと離されてドアの中へ消える黒田。
ふたつの体温が混ざった手の平を見て気付いた。
「単車ってどういう事っ?!」

