その時、一筋の風がふわりと僕の頬を撫でていった。 ここは病院の廊下。 風が通り抜けるはずないのに。 「忘れられないよ。僕は、どうしたらいい?」 『まだそんなこと言ってんの?』 君だったらそう毒づくだろう。 本当に素直じゃない性格だから。 『そんな弱虫は騎士失格。お役御免だよ』 だからちゃんと幸せになってよ、アホ。