Rose of blood *short story*

ふと視線を感じ顔を向けると、そこにはローズの姿があった。


目が合ったような気がしたが、気付かなかったのか違うほうへと足を進めてしまった。



『すまないが、私はこれで失礼する』

「せっかくですからもう少しお話しましょう」



そう言って女はグラスを持っている俺の手の上に、自分の手を重ねてきた。


これがウェルヴィアであれば確実にこの女はひっ捕らえられている。



『悪いが妻以外の女に興味がないんでね』

「ッッ」



女は口を開いたが、何も言葉を発さなかった。


それどころか俺の目を見て怯えたような顔をしている。


ローズには絶対見せることのない冷たい目を向けているからだろう。


俺は女に背を向けローズを探した。


耳を集中させるとローズの声が微かに聞こえた。


誰かと話をしているようだ。