Rose of blood *short story*

この国の仕来たりに則って式を進めた。


でも、この国にもこの世界にもない仕来たりがあり、私はどうしてもそれをしたかった。


異世界では至って当たり前の様に行われること。


私はマイクを持ち、皆に聞こえる様に話をした。



「皆様、本日は私たちの為にわざわざ足を運んで下さって本当にありがとうございます。こんなにッッ温かく迎ッッえて下さって、ッッ幸せで胸がッッいっぱいですッッ」



泣かないで話したかったのに思いとは裏腹に涙がどんどん頬を伝う。


シエルは何も言わず微笑み肩を抱いてくれた。



「ッッ今日はどうしても私が行いたいことがあり、無理を言ってブーケトスを式に盛り込んで頂きました」


知らない言葉だからか、皆一気にざわつき始める。



「聞き慣れない言葉だと思います。花嫁が投げた花束を受け取った女性は幸せな結婚が出来るという言い伝えがあるそうです。女性限定ですので、男性が受け取ってしまわないよう気を付けて下さいね」



男性は急いで手を引っ込めていた。


その様子が可笑しくてつい笑ってしまった。