Rose of blood *short story*

何故かレイドにはこの女には指一本たりとも触れさせたくはなかった。


この汚れを知らない白く透き通るような肌を………。


気付けば俺は、女の頬に触れていた。


冷たく艶やかな頬に。


相変わらず俺の顔を心配そうに覗き込んでいる女にそっと呟いた。



『生きろ』



言い終わる前に女の乗っている馬の尻を叩き、ここから走り去るよう合図をした。


馬は本能のまま炎の上がっている屋敷とは反対の道へ勢いよく走り去っていった。



『エリー……あの時お前が俺を逃がした時の想い…ようやく今心から理解できたような気がするよ』



何十年何百年と経ってようやく気付くとは…俺は大馬鹿だ。


自分なりのけじめをつけるため、俺は再び通路を辿り炎の上がっている屋敷へと足を進めた。


温かく愛らしい笑顔をした女を心の中に宿して………。





fin.