Rose of blood *short story*

「私も…伯爵様に買われたのよ」

『えっ……』



俺が驚いた顔をすると、エリーは優しく微笑み話を続けた。



「私は貴族の生まれで、小さいころから結婚相手も決まっていたの。大人になってその男性と結婚して、子供も生まれた。その子供がアッシュ……」

『…………』

「実家に帰った時に偶然伯爵様とお会いしたの。後日父宛に伯爵様からお手紙が届いた…そこには私を側室に迎えたいと書いてあった」

『…側室?』

「奥さんとは別に、女性を傍に置いておくことよ」



今の俺にはその意味がよく理解できた。


エリーも俺と同じような屈辱を味わってきたんだ。



「父は伯爵様に逆らうことができなかった…事業でとてもお世話になっていたから。でも、私はどうしても伯爵様の元へは行きたくなかった」

『うん…』

「私が嫌がっていることが伯爵様の耳に届き、私が実家に帰っている間に主人と子供は……殺されていた」

『伯爵様…に?』

「証拠がないから分からない…でも、それ以外私の頭には思い浮かばなかった……」



スッとエリーの目から涙が零れ、頬を伝い流れ落ちる。


その涙を俺が手で拭うと、エリーは笑った。


切ない顔をして。