Rose of blood *short story*

どの部屋のドアも豪華な作りだったが、足を止め、目の前にある両開きのドアは比ではないほど豪華な作りだった。


部屋に入るよう促され、俺は一人で足を踏み入れた。



『もっと近くにおいで』

『…はい』



少し長い顎髭に茶色い髪の毛をした男性が、ゆったりとソファーに座っていた。


俺は震える足を必死に動かし伯爵様の元へ近付いた。



『そんなに怯えなくていい。あぁ…こうして近くで見ると本当に美しい………』



俺の顔を撫でるかの様に触る伯爵様。


恐怖のあまり、すぐ目の前にある伯爵様の顔から目線を外せなかった。


頬に伯爵様の唇が触れ、俺は目をギュッと瞑った。



『お前はどんな宝石よりも高価で価値がある。全ての表情、仕草…堪らないくらい綺麗だ……今日から毎晩晩酌に付き合ってもらうよ』



その時の伯爵様の不気味な笑みを見て、俺はこの男の人形であり玩具なんだと思った。


あまりの恐怖にもう…頭がついていかなかった……。