Rose of blood *short story*

酒のせいで頬をピンク色に染め緩んだ表情をしているローズとは対照的に、相手の男の顔は真剣だった。



"瑠花が行方不明になって心配だったけど、同時に後悔した"

"後悔?"

"どうして、好きだと気持ちを伝えなかったんだろうって"

"えっ……"

"今夜もっと後悔した。まさか結婚してるなんて…思いもよらなかった"



俺がテラスに足を踏み入れても2人とも気付かない。


気配を消しているせいもあるだろうが、それどころではないんだろう。



『ご主人を愛してる?瑠花は幸せ?』

「主人も子供たちも愛してる。大切な人たちに囲まれて私は幸せだよ」

『そうか…なら、何も言わない』

「ありがとう、まぁ君も幸せになってね」

『あぁ』



どうやら話はまとまったようだが、正直俺はイラついている。



『瑠花、そろそろ帰ろう』

「シエルッッ、うん。まぁ君またね」

『あぁ、気をつけて』



一応その男にも軽く会釈をした。


テラスを出ると直ぐにご両親に帰る旨を伝え、ウェルヴィアへ戻った。