「やだ、離して」 「なんでだよ。夏休みだから全然会えないし、これからまた忙しくなるんだろ?」 それが私の仕事のことくらい、考えなくても分かる。 蓮はこうして私のためにいつも迎えに来てくれているから、私も……。 きっと真っ赤になっているであろう顔を気にしながらも、素直に蓮に身体を近づける。 田嶋さんがいるからそれ以上は私には無理だけど、ふたりの距離はいつもの半分くらいになったから、さすがの蓮も何も言ってこなかった。 ……けど、部屋に入ったらこんな距離じゃ許してくれないだろうな。