やっと着いた。
携帯のディスプレイに映った時計を確認すると、8時50分。
私はバスから降りると、A棟へ向かう。
校内は広く、大体の授業は全然違う教室で行うから、教室の場所はまだまだ迷う。
今から向かう教室は、このエレベーターを3階で降りた右側にある。私は小さめのエレベーターに乗り込み、3のボタンを押した。
なんか今日眠たいなー、なんて欠伸をしながら足元を見る。
「すみません。」
そう声が聞こえて顔を上げると、さっきまで閉まろうとしていた扉が開いて、男の人が入ってきた。
その人は私に会釈すると、背中を向けた。
ゆっくりと動き出すエレベーター。
……白い。
その白さに見とれていると、男の人がふと私の方を見た。
ぱっちりと目が合う。
目を離せないでいると、男の人から目を逸らした。
3階に着いたエレベーターがゆっくりと開き、男の人が降りて右側へ向かった。
止まった心臓がゆっくりと大きな音を出して動き出す。
同じ教室なんだ。

