だって、困るんだもん。
「花菜ちゃんってバスケ上手いよねっ」
ちなのことはもちろん好きで、
「へえ、バスケ上手いんだ」
児玉くんのことも好きだから。
あたしは上手いという言葉を否定しながら下を向く。
見つめられながら"上手いんだ"なんて微笑まれたら顔赤くなっちゃうよね。
そんなところ見られたらやばいもん、絶対に。
「ねえ、フジって背何センチあるの?」
さっきまで先生に買出しした物を届けに行っていた沙織が疑問そうにする。
確かに思えば、フジって背おっきいし、どのくらいあるんだろ。
さりげなく160センチのあたしと目線で比べてみると、はるかに大きい。

