あたしは脱いだ靴を手に取って自分の靴箱へと向かう。
そして外靴と上靴を手に持ち替えた。
「靴箱、隣なんだね」
声をかけられて左隣を見ると、あたしと同じ目線くらいまでしゃがんだ児玉くんがあたしにそう話しかけていた。
靴箱が隣なんてことは、もう4月には知っていたのに。
そんなことはもちろん言える分けなくて。
「あ、ほんとだ」
あたしは少し驚いたように口を開け、今更気付きました!みたいな言葉を返す。
すると児玉くんはあたしにニッコリと笑いかけた。
そんな児玉くんの表情になんとも言えない感情が心の中を渦巻く。
話せて嬉しい、だけどちなに見られたくない
あたしは笑いかけてきた児玉くんから目を離して上靴を履くと、女子3人が話しているところに逃げた。

