一瞬空気が凍ったように感じたのはあたしだけじゃないのは、案の定みんなの顔つきから読み取れた。
好きな人被っちゃった、とかそんなことを考える余裕なんてなくて。
ただひたすらに心臓があたしの焦りを刻んでいく。
「ねえ、花菜は?」
「え?」
「前に児玉くんのこと、好きになろうかなとかなんとか言ってなかったっけ?」
沙織の言葉に黙り込むあたし。
まだ覚えてたんだ……なんて考えてみたりして。
「花菜ちゃんが好きなら、ちなは全然諦めるよ!ちな、児玉くんと花菜ちゃんなら花菜ちゃんの方が大切だもん」
そう言いながらも、ちなの顔はさっきよりも断然悲しい顔をしていて。
ずるいじゃん、そんなの。
「好きじゃないから大丈夫だよ」

