その足音が児玉くんのものだとわかった瞬間にあたしは顔を前に戻して、まるで見なかったかのように歩く。


ななな何で児玉くんがいるの!

部活休みなんじゃなかったっけ!


てか今あたし児玉くんの視界に入ってるわけだよね?

変に歩き方とか意識しちゃうんですけど。

とりあえず一刻も早く体育館に着かなきゃ!




「ねえ、男バス練習何やってた?」




急に後ろから降りかかる声。

あたしはその声に反射して振り返った。

無意識に立ち止まる足。



確実にあたしを見つめる瞳。

あたし話しかけられたんだってわかった。




「あ、えっとね、さっきまで3対3やってたよ」




どんどん近づく足音。

それが隣に来たとき丁度言い終わり、"ありがと"って言われた。