「次は1対1」
ストレッチが終わり、本格的な練習メニューに入った。
みんなそれぞれ自分の決められた列に並んでいく。
……ん、トイレ行きたい。
そういえば今日1回もトイレ行ってないや。
「奈々、今トイレ行っていいと思う?」
「我慢よくないから行っといで」
あたしはキャプテンに一言了解を得ると、体育館から出てトイレに向かった。
一直線の長い廊下には誰もいなくて、窓の外から聞こえてくるテニス部の声がよく聞こえてくる。
……早く戻って練習参加しなきゃ。
あたしは急いで用を足すと、トイレから出てまた体育館へと続く、長い距離の廊下を歩いていく。
……なんか足音聞こえるんですけど。
あたししかいないはずの廊下にあたし以外の足音が聞こえるなんて。
パッと一瞬振り返ると、そこには見覚えのある人影。
……児玉くん!

