「じゃあ休み時間です」
長かった1.2時間目が終わり、ようやく10分休み。
3人に水飲み行こうと誘われて席を立つ。
「花菜ちゃんの隣、かっこいい児玉くんじゃん!」
ちなにそう肩を叩かれて、ビクッとした。
"チャンスじゃん!"と言われて"何の!"と言えば"恋の!"と返されて。
「す、好きになっちゃおうかなっ」
いや、もう好きなんですけどね。
あたしがノリで笑いながら言うと、3人は盛り上がった。
"頑張って落としちゃえ!"なんて言う沙織に"色気出さなきゃね"なんていう真帆。
恋をこういう風に目に見えて応援されるのは苦手なタイプ。
押して振られた時に気まずいし。
だからあたしが本気だってことは気付かれていなくて、内心ちょっと安心する。
これだったら、ノリだよノリって言って誤魔化せるから。

