air






てか、何動揺してんのあたし。


すうっと一度大きく息を吸うと、あたしは自分の席に座った。

教科書と筆箱を置くと静止したまま、何も書かれていない黒板をジッと見つめる。



ガタッと突然隣で音がした。

反射的に児玉くんの方を見ると、児玉くんと目が合う。


多分1秒もなかった。

児玉くんはあたしから目を逸らして、落とした自分の筆箱を拾うと、また頬杖をついて前を見た。



慌ただしく心臓が動く。


何ドキドキしてんのあたし。

児玉くんじゃん。

ただのクラスメイトじゃん。

ただ顔かっこいいだけじゃん。


なのにドキドキするあたしって……!




「真帆!」




突然呼ばれた名前に驚いたのか、ビクッとしながら真帆が振り向いた。

あたしは"いーっ"と変な顔を見せる。

すると真帆はくしゃっとした笑顔であたしを見た。


落ち着いてきた鼓動。

3時間頑張らなくちゃ。