「あ、確認した人は移動していいぞ」
「花菜行こ!」
3人に誘われ席を立つあたし。
いや、もしかしたら見間違えかもしれないし、ただあたしが都合よく考えてそう見えた幻覚かもしれないし。
「うちと花菜、席斜めだよ!」
真帆が嬉しそうにそう言って、指差した席表をあたしに見せてきた。
それを見れば、あたしの斜め後ろに真帆。
隣にはやっぱり児玉郁の名前。
「あたしたくさん振り向くから!」
"絶対に!"と付け加えて真剣に言うと、真帆は笑いながら頷いた。
幻じゃなかった……。
どうしよう、児玉くんが隣だったらあたし集中できないかも。
だから絶対振り向きます。
児玉くんの存在なんて忘れちゃうくらいに振り向きます!
児玉くんは忘れよう。
そんなことを考えてると、理科の授業を受ける教室に着いた。
前から2番目……。
あたしが席を見渡すと、あたしの隣の席に座っている児玉くんがいた。
だめだ早速見ちゃいました。

