コンビニで買ったボリボリ君を食べながら、夏休みの予定とか昨日の夕飯のハンバーグを弟と取り合った皇の話とか、たわいもない話をしながら歩いていれば、あっという間に分かれ道まで来てしまった。
私は右、皇は左
いつも通り手を振って、私は右の道に進んだ。
「………ココ!」
いつもよりも上擦った皇の声が背中越しに聞こえて、私は数歩進んだところで振り返った。
「なに?」
「明日、ココ暇だよね」
「うん、暇だったと思うけど。なに?どうしたの?」
「じゃあ明日、迎えいくから準備しといてね」
バイバイ、手を振って行ってしまった皇の後ろ姿を呆然と見つめながら、私は小さく溜息をついた。
「なんの準備をしろと……」
皇のことだから、後でちゃんと時間と内容が細かく記載されたメールが届くんだろう。心配はいらないか。
皇はのんびりしてるように見えてしっかり者だから。
私は小さな溜息をついた。
真っ直ぐ家に帰る気分でもなくなったから少し寄り道をして帰ろう。そう思いながら歩いていたら、ふと思い出した。
森の中の廃れた神社
その社の中にいた光る男

