「な、何?!」

窓に近付くと
小さい声で


「…窓、あけて」

と猫の声がする


「猫?」


私が窓を開けると
出窓の部分には
カラフルな
ジェリービーンズが

散らばっていた


顔をだして隣を見ると


出窓に
猫が座って
こっちを見ていた


「猫…どうしたの?」


私が言うと
重ねるように


「…腹減った。
何か食わせてよ…」


と言った


月明りの下で
猫の白い肌が栄えて

よく見ると
手や顔が絵の具だらけだ

「絵、描いてたの?」


猫は
私の質問に答えないで


「…腹減って、死ぬ」


とだけ言った


こうなったら猫は
このまま
動かない


前にもこんなことがあって


無視してみたら
翌日の朝まで
そのままで
寝ていたことがある

真っ青な顔で


「…わかったから、
とりあえず窓しめて
部屋にきて

何か作ってあげるから」

そう言うと
珍しく
猫は少し微笑んだ