背広さんの後ろを


アパートの階段を
カツンカツンと
音をたてて
あがっていく


どこで飲むのかな…


そう考えていると


猫の部屋の前を
通り過ぎる


あ、電気ついてる
猫、帰ってきてるみたい

私の部屋は隣だから
いつものくせで
ふと、
頭をよぎる


「…よければ僕の部屋に来る?」


気付いたら
背広さんが


私の部屋を通り過ぎて
自分の部屋の鍵を
取り出すところだった


私の部屋に来てもらっても
猫の気まずい
話になっても嫌だし…


「じゃあ、今日は
背広さんのお部屋に
お邪魔してもいいですか?」


考えてそういうと

背広さんは
またにっこり笑って

「じゃあ10分後に。
着替えておいでよ」


そう言って
部屋へ入っていった


着替えておいでよって…

なんか緊張しちゃうな



そう思いながら
自分の部屋の鍵を
あけた


カチャリ
と鍵をまわした時


猫の部屋から
物音がしたような
気がした