ぞうもつやさんに言われた通り目隠しをして車に乗った。
車の揺れが心地よく眠ってしまった。

「着きましたよ」

そこはマンションのような外観で、だまされたのかな?
と思ったが中を見てびっくりした。大学病院並みの設備に
医者の数、次々と臓器が移植されていく・・・

「きれい・・・」

私よりも年を取っていたり、太っていたりしているのだが
いきたいという気持ちが顔に表れている。生きながら死んでいる
自分とは大違いだ。
移植された臓器は患者さんの体の中で生き生きと血液を送り出す。
顔色がとたんに良くなる。まるで手品を見ているようだった。

「こちらへどうぞ。」

小さな部屋に通された。机とパソコンがあった。

「すべての臓器を移植されると言うことでお間違えないですね?」

「はい。」

カタカタとキーボードを打つ音が響く。

「明日の朝の手術に向けてこれから検査をしていきます。それと、
移植に際しての謝礼金をお渡しする方のご住所、お名前、
その方にお手紙を書いていただきます。死亡診断書とお体も責任を持って
ご希望の方にお渡しいたします。」

「手術、明日ですか!」

「何か?」

思った以上に手術が早くてびっくりしてしまった。でも、本当ならばもう死んでいるはず。「いいえ」とだけ答えた。

命のカウントダウンが始まった。ものすごいスピードで私の体が調べられる。
太ってはいるものの、タバコもお酒もしていない若いからだは
利用価値があるようで、臓器のみならず皮膚や骨髄にいたるまで
すべて調べられた。
一通りの検査が終わり、またさっきの部屋にむかった。

「どうぞおかけください。この後のスケジュールについてお話いたします。」

生きている間にすることがきまる。大きく息を吸って、いすに腰をかけた。