ぞうもつやさんにお願いがあります。
「なんですか?」
いますごくいい気持ちなのでそのまま死んでしまいたいなって思っています。
だから手術の時間まで眠らせてくれませんか?
もう人を憎んだりしたくないので・・・・。
「本当にいいんですか?」
はい。いいんです。お願いします。
「わかりました。麻酔を用意します。」
ぞうもつやさんは連絡をとった。
まもなく看護婦さんが麻酔を運んできた。
「私、ぞうもつやさんに会えたこと、
神様に感謝します。それとあと1つだけ・・・
お願いがあります。」
「なんですか?」
さっき泣いているとき抱きしめられて
すごくうれしかった。
だから、最初で最後のキスをしてくださいませんか?
「僕なんかでいいんですか?」
ぞうもつやさんにしてもらいたいんです。
恥ずかしくて顔が上げられなかった。
ぞうもつやさんは自分のかけていたメガネを取った。
ベットの横に座り、かたに手をおいて、やさしくキスをした。
涙がほほをつたう・・・
「ありがとうございました。」
ゆっくりと麻酔が効いてきた。
「眠るまでそばにいるよ。」
とぞうもつやさんが言った。
さようならありがとうございました。
ゆっくり眠りに付いた。