〜*皐Side*〜


帰りのタクシー。


お互い何も話さない。




ただ、変わり行く景色を見つめているだけ……



「あっ、あたしもうここでいい。」



駅前でそう言った莉緒。



「家まで送る」


タクシーを止めようとする莉緒の言葉を拒否して、無理やり莉緒の家まで送った。



「じゃあ、家ここだから……」



そう言ってドアを莉緒が開けた。



莉緒の家は住宅街に並ぶ、普通の一軒家。



ただ周りの住宅街と一つだけ違うのは、全く灯りがついていないこと……