それから教室に戻った。


授業はもう始まっていて、先生に謝って中に入った。



あまり怒られなかったのは、俺の日頃の態度のおかげだな。



――ブルルッ



ポケットの中で震えた携帯。


さっき教室に入る前にマナーモードに切り替えていた。


そっと携帯を開け、中を見る。



『授業に遅刻するなんて、珍しいね?何かあった? 愛華』



愛華らしい、メール。



『大丈夫だよ。心配かけてごめんね? 皐』



すぐにそう送り、少し席の離れた愛華を見た。



メールを確認した愛華がこちらを見て、そっと俺に笑いかけた。



ダメだ。


ダメだ……



愛華に心配をかけることだけは、絶対にしちゃダメだ。



そう思っているのに……




さっきの莉緒の表情が……


莉緒の笑顔が……




頭から離れない。




なぜなのか、わからないけど……