『誰なんて酷いなぁ〜。タカシだよ!タカシ!』
……やっぱり知らない。
『この前カラオケ行ったでしょ?』
「カラオケ……?あぁ―…」
1週間前にナンパされて、カラオケに付き合った人か……
男が2人居たからどっちかわからないけど。
『今日時間ある?またカラオケでもどう?』
家に帰るのはイヤだし……
「いいよ。でもまだ学校だから、遅くなるかもしれないけど。」
『了解―っ。他にもダチ連れてくるから』
それだけ言って電話は切れた。
顔さえ覚えてないのに会うなんて、やっぱりあたしって軽いのかな?
でもそれでも家に居るよりかはいい。
あの家は嫌い。
居心地が悪くて仕方ない。
教室にはもう誰も居なくて、あたしのバッグがぽつんと机に置かれていた。
机に歩みより、カバンを手にとる。
『ちゃんと先生と話せた?』
こんな時まであたしを心配する詩織。
そんなメモを大事にポケットに直した。
少し笑みが溢れる。
あたしがこの学校で唯一得たものは詩織だった。


