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「ね、ねぇ……皐……?」
「ん?」
「そ、そろそろ離してくれてもいいんじゃないかな?」
さっきから“ずっと”抱きしめている俺。
「離さないって言っただろ?」
「あ、あのでも……もう何十分もこのままなんだけど……」
あぁ、もうそんなに経つか……
壁に掛けてある時計を見ると、8時を過ぎていた。
「お父さんは今日、何時ごろに帰ってくるんだ?」
抱きしめたまま話す。
「へ?お父さん?今日は会社に泊まるんじゃないかな?また忙しくなるみたいだし……」
「ふぅ―ん。」
バカなヤツ……
そんな素直に答えたら……
「じゃあ、俺泊まっても平気だな」
「へっ!?」
こんなチャンスめったにないし。
逃すわけないだろ?
「ってか!早く離してよ―…」
泊まると言ったことに焦り出したのか、腕の中で暴れだした莉緒。


