「それに気づいたのは、高校が決まって家庭教師を終わる時……。」
どれだけ傷ついたのだろう……
信じて……愛した人に裏切られるのは……
「だからあたしね、“愛”も“恋”も信じないって決めたの。でも、信じてみたくなった……。皐と出会った瞬間に……」
っ……
ジッと綺麗な瞳が、俺を見つめる。
「今日、武司さんに会って言われたの。莉緒は本当は俺に“父親”を求めてたんじゃないか…って?」
また瞳を反らし、伏せる。
「あたし、否定出来なかった。だって、間違ってなかったんだもん……」
「莉緒……」
声が震え出した莉緒に、不安を感じる。
「あたしは知らないうちに、武司さんに父親を求めていたの……。だから武司さんに婚約者がいるって分かった時、悲しくてツラくて、たくさんワガママ言ったけど……」
静かな部屋に、莉緒の震えた声だけが響く。
「それでも本気で引き留めて、一緒に居たいとは思わなかった……」
「………」


