「そして、愛華は俺の婚約者だ」
「……えっ」
い、今、なんて……?
「小さい頃から決められてたんだが、最初は親が決めた結婚相手なんてごめんだった。」
「………」
「愛華が俺に好意を抱いていたって、俺にはただの邪魔にしか感じなかったんだ……」
ゆっくり、思い出すような話し方。
「でもそんなある日、愛華が俺ん家に来て、告白してきたんだ。」
「っ……」
「もちろん俺は断った。それでも愛華はめげなくて、俺が階段を登って部屋に入ろうとするのをついてきた。」
段々歪んでくる皐の表情に、あたしまで苦しくなってくる。
「俺は、そんな愛華の腕を振り払った。そしたら愛華はそのままバランスを崩して、階段から……」
皐が話す内容は悲惨なモノで、息を飲んだ。
「そのことが原因で愛華は右足に大きなケガをおった。今ではもうほとんど治ってるけど、たまに古傷が痛むのか、顔を歪める時があるんだ。」
「皐……」
「あれは事故だった。そう言われれば、そうなのかもしれない……でも……」


