「あのね、お父さん。」
「……ん?」
「あたし、モンブランが好きなの。」
「えっ?」
「テディベアの誕生日プレゼントのセンスは許すけど、ケーキはモンブランがいいな?」
「莉…緒。」
「今度からは間違えないように、あたしの好きな物教えるから。」
「え……」
「だから、その代わりにお父さんの好きな物教えて?」
少しずつでいい……
少しずつでいいから……
「っ……あぁ。」
勇気がなくて伝えられなかったけど……
ちょっとずつ歩み寄っていきたい。
傷つけられても、それでもお父さんはお父さんなの……
この世でたった1人のお父さんなの……
――この日初めて、お父さんの目に涙を見た。


