「俺はお前が小さい頃から仕事人間で……。全く育児なんてしてこなかった。」
ゆっくり話すお父さんの話を、ただ黙って聞いていた。
「そんな俺が、実の母親に傷つけられた莉緒とどう接したらいいか……。どう癒したらいいか……。全く分からなかったんだ……」
「……」
「莉緒が傷ついてるのを知っていて、俺は莉緒を更に傷つけるんじゃないかって不安だった……。でも、結局俺は逃げてたんだな。」
「お父さん……」
「ごめんな。最低な父親で……」
眉を下げ、あたしを悲しそうに見る。
あぁ、この瞳は……お母さんが出ていってからよく見てきた瞳だ。
「莉緒……これ。」
あたしから離れて、床に落ちている大きなテディベアを渡してきた。
「ケーキも買いたかったんだが、何が好きかわからなくて……。だからと言って、確かに高校生にテディベアもないな。」
空笑いをする父から、大きな大きなテディベアを受け取った。
バカだ……
テディベアって……
バカとしか言い様がない……


