寒い中、凍ってしまったかのような足をゆっくり進め、ただ無心に歩いた。
行くところなんてない。
帰る場所なんかない。
あたしには居てもいい、居場所がないんだ……
――ギュッ
「……え」
ふんわりと後ろから抱きしめられた。
「はぁ―…バカか。こんなに冷たくなって」
「さつ…き……?」
なんで……?
「そこのショッピングセンターの音楽が聞こえてたからよかったものの……。突然電話が切れると心配するだろ?」
「っ……か、彼女は?」
肩に回ってる腕をギュッと握る。
「用事があるって言ってきたから大丈夫だ。それより、何かあったのか……?」
ゆっくりとあたしを振り向かして、頬の涙を拭ってくれた皐。
「あっ……何でもないの。」
「何でもないわけないだろ?いつも莉緒は嘘が下手なんだよ。」
下手なんじゃないよ。
皐に出会ってから、下手になっちゃったんだ……
皐が何でも見透かすような瞳で、あたしを見ちゃうから……
あたしを見透かしちゃうから……


