涙で前が霞んで見える。
「でもっ!今日くらいは覚えていて欲しかった!!」
もうイヤだ……
イヤだ……
何もかもイヤだ………
それからはただ呆然としている父親をおいて、走り出した。
嫌いでもよかった……
愛されてないなんて、分かってた……
ただ、この世に生まれた日くらいは覚えていてほしかった……
おぼつかない足で、街中に出てきた
誰でもいいからそばに居てほしくて……
気づいたら、携帯を取り出して電話をかけていた。
何回かのコール音の後に聞こえた声。
『もしもし?』
「………」
この声って………
『莉緒……?どうした?』
優しい優しい……皐の声。
「ごめっ……ん」
声が出ない。


