「莉緒、こちらは吉瀬加奈子[きちせかなこ]さんだ。」
今日はあたしの誕生日を祝うためじゃなくて、この人に会わせるために、このレストランに連れてきたのだと……
「ほら、莉緒挨拶しなさい」
何が挨拶しなさいよ。
あたしは椅子から立ち上がることもせず、ただうつ向いているばかりだった。
「莉緒っ!!」
「いいの、雄一郎さん。やっぱり最初だし、緊張してるんだわ。」
緊張?
笑っちゃう。
呆れてるのよ……
あたしの誕生日に、再婚相手を紹介する父に……
もしかして誕生日祝いをしてくれるって、期待していた自分に……
「遅れてしまって、本当にごめんなさいね……」
「いやいや、仕事大丈夫だったのか?」
「えぇ、大丈夫よ」
あたしの存在なんか消えたかのように、2人の世界に入ってしまった。
――ガタッ
「り、莉緒……?」
おもいっきり椅子から立ち上がった。
少しビックリしたかのように、あたしを見るお父さんと再婚相手の人。


