「どこ行きたいんだ?どこでも連れていってやる」
『どこでも連れていってやる』
そんな言葉が、嘘でも嬉しかった。
「本当にどこでもいいの?」
「あっ、県外は無理だぞ。遠いから」
「なっ!分かってるよっ!!」
「ははっ」
たまに見せる、幼い笑顔。
そんな姿に胸がキュンとする。
「で?どこ行きたい?」
「……海に行きたい。」
「は?」
「あの海に、行きたい」
あの、皐と行った海に……
「は?もう冬だぞ?入る気かよ」
呆れたようにあたしを見る皐。
「入るわけないでしょっ!!ただ行きたいだけなのっ!!」
あの海に行きたいの……


