『避けたい運命』

「ねぇ恋美」

「どうした?」

「私ちょっと屋上行ってくる」

「まだ10分しか経ってないのにもう疲れたの?」

「気分転換」

「私教室いるわ。女子の生態調べとくから」

「任せた!」

私はざわついた教室を離れ
屋上へ行った
登校初日早々サボる人はいないのか、屋上には誰もいなかった

私はポケットに潜めていた携帯を取り出し、音楽を流した
この時は楽な時間だった

「やっぱり」

「え?」

私の目の前には葉山くんが
ポケットに手を突っ込んで
あの笑顔で立っていた

「一緒いいかな?」

「うん」

「二宮ってさ…話しにくい奴かと思った。正直その容姿でちょっと人とは違うって意識してるかと思ったら違った。良い意味で」

「葉山くん?」

「今の時間。誰も二宮に話しかけてなくて、寂しそうな顔してた。もちろんみんなは、お前が美人だから釣り合わないとか一目置いてるだけなんだけど」

真剣に話す葉山くんを見て
確信した。葉山くんが好きだ。

さりげなく私を美人と言ってくれて心で舞い上がった。

「葉山くん何で屋上に?」

「気分転換」

「私…みんなが思ってる程、クールじゃない。作ってるだけ」

「わかってたよ。…まあ二宮は二宮だから」

なんでだろう…葉山くんには
何でも話してしまう。
好きだけの感情じゃなく
『何か』を感じる